脳のはなし

犬の飼育が認知症発症リスクを軽減

ペットを飼育は、2022年度の一般社団法人の発表によるとペット犬が約705万3,000頭、猫が約883万7,000頭で、犬の新規飼育は過去10年間で432,000頭と過去最多に増加しています。ペットを飼育することで「同居する両親との会話が増えた」「家族の絆が強まった」といった報告がされています。

そんな中、東京都健康長寿医療センターが「ペット飼育と認知症発症リスク」に関する研究を、2023年に『Preventive Medicine Reports』誌で発表しました。ペット飼育と認知症発症との関連性を明らかにしたのは、同センターの研究が初めてということです。

この研究は、フレイル※や自立喪失、運動習慣と強く関連する認知症に着目し、ペットの飼育が認知症の発症と関連するのかどうかを調べたもの。東京都A区での疫学調査に参加した、平均年齢74.2歳の11,194人の調査データを元に分析しました。

その結果、犬の飼育をしている人は飼育していない人に比べ、認知症が発症するリスクが40%低いことがわかりました。また、犬の飼育している人のうち、運動習慣のある人、または社会的孤立状態にない人は、認知症発症リスクが有意に低下することが明らかになりました。一方、猫を飼育する人と飼育していない人との間には、認知症発症リスクの差はみられませんでした。これらの結果から、日常的に犬の散歩など世話することによって、身体活動や社会参加が、飼育者自身の認知症発症リスクを低下させているのではないかということです。

※年齢とともに、筋力や心身の活力が低下した虚弱な状態のこと。

出典) 東京都健康長寿医療センター
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S221133552300356X
https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1024.html
一般社団法人ペットフード協会(PDF)

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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