脳のはなし

拒食症で脳が小さくなる!?

世界的に見て「日本女性は痩せ傾向が高い」ということは、広く知られています。特に、若い女性たちは見た目を気にして行き過ぎたダイエットをするケースが少なくないようです。しかし、過剰な食事制限によって栄養失調に陥る人の増加が、近年、問題視されるようになりました。

痩せすぎについては、不妊症や低体重児のリスク増加など様々な問題がありますが、特に目立つのは「摂食障害」でしょう。

摂食障害とは、痩せ願望から食事がとれなくなる「神経性痩せ症」や、過剰に食べた後に自ら嘔吐したり、下剤を飲むことで体重が増えることを防ごうとする「神経性過食症」などが、それにあたります。
 日本摂食障害学会の調査によれば、患者数は年々増加傾向にあるといいます。

そして、昨今の研究では、拒食症が脳の体積を減少させることも分かったのです。
国立精神・神経医療センター、東北大学、千葉大学、京都大学、産業医科大学、九州大学が行った共同研究によれば、神経性痩せ症(拒食症)患者の脳MRI画像を分析したところ、多くの脳領域でその体積が減少していることを明らかにしました。特に、思考や感情、意識といった高次な機能と関連する「脳灰白質」の影響が顕著であったことも分かったのです。

「食べたもので身体は作られる」とはよく聞くフレーズですが、「食べないと脳が小さくなる」ということは、間違いないようです。

極端な食事制限は、目に見える箇所だけではなく、見えない脳も小さく萎縮させてしまう危険性があるということを、美意識が高さと共に、必須知識として備えておきたいものです。

参考) https://www.nature.com/articles/s41380-023-02378-4

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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