脳のはなし

記憶するなら「紙のノートにペン」が最強!

1日のうちで、一度もペンを使って字を書かなかった~現代社会では、そんな日常が当たり前になっている人が少なくありません。仕事も学習もデジタル化が進み、記録やメッセージはすべてキーボードやスマホで打ち込むように、私たちの生活は大きく変化しました。

子どもたちも、国が掲げる「児童生徒1人1台コンピュータ」というGIGAスクール構想によって、勉強はタブレットやパソコンを使って行う時間のほうが増えてきているようです。

ところが、「キーボードに打ち込むよりも、紙のノートにペンで書いたほうが記憶は定着しやすい」ということを明らかにした研究が、昨今、発表されたことが話題になりました。

東京大学とNTTデータ経営研究所が行った研究によると、個人のスケジュールに関する対話を読み、紙のノート、電子タブレット、スマートフォンを使用して予定をカレンダーに書き込む3つのグループの認識記憶をテストしたところ、ノートに記録したグループの記憶の精度が、他のグループよりもはるかに高いことが確認されました。

また、テスト中の脳画像を観察したところ、やはり、ノートのグループの記憶の想起に関連する脳活動が、優位に活性化していることも分かったのです。
研究者は「紙の教科書やノートを使った学習では、記述した言葉の情報に加えてノートのどこにどのように書いたのかといった視覚的な情報などを関連付けて記憶するため、想起の手がかりが豊富になるぶん、記憶の定着に有利になる」と語っています。

仕事で覚えるべきことや、学習の定着が必要なときこそ、紙とペンが威力を発揮することが科学的に明らかになったというわけです。パソコンやタブレットのメリットと使い分けながら、時にはアナログな手作業を復活させることが、パフォーマンスアップにつながりそうです。

参考) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnbeh.2021.634158/full

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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