脳のはなし

運動習慣には脳の容積を大きくする役割

運動習慣が、認知症予防や脳の活性化など脳にいい影響を及ぼすことは、これまでの国内外の研究で明らかになっています。

さらに、アメリカのパシフィック神経科学研究所研究チームが、これまでの運動習慣が脳の健康を改善することを裏づける結果を、2023年に『Journal of Alzheimer's Disease』誌で発表しました。

この研究は、約1万人の脳のMRI画像をもとに解析したものです。その結果、ウォーキングやランニングなどの運動習慣のある人の脳は、ニューロン(神経細胞)の細胞体が集まる領域である白灰質や、記憶を司る海馬の容積が大きい傾向にあることがわかりました。運動は、認知症のリスクを下げ、脳の大きさを維持するのにも役立っているという結果になりました。

また、この研究では、1日1万歩といった運動ではなく、4,000歩程度の運動でも脳の健康に良い影響を与えることが明らかになったことから、これは多くの人にとって達成可能な目標になるのではないかと期待されています。

研究グループは、運動習慣に加えて、食事やストレスの軽減、社会的なつながりなど、他の因子と組み合わせることで、薬に頼らなくても、アルツハイマー型認知症などのリスクを大幅に軽減できる可能性についても報告しています。
運動習慣がない人は、1日4,000歩を目指してみてはいかがでしょう。

出典) パシフィック神経科学研究所研

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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