脳のはなし

認知症の「第一予防」となる生活習慣の見直しとは

最近の研究では、認知症のリスクを高める病気が明らかになってきています。認知症は、多因子疾患と呼ばれるように、いろいろな要因が重なり発症すると考えられているので、いくつも病気が重なれば、それだけ発症率は高くなります。

代表的なものに、高血圧、糖尿病、脂質異常症があります。これらは以前、脳卒中の危険性が高くなることから、認知症の中でも脳血管性認知症に関連すると言われていましたが、アルツハイマー型認知症の発症や進行にも大きく関係していることがわかってきました。

糖尿病はそうでない人に比べて、アルツハイマー型認知症になるリスクが2.1倍高く、高血圧はそうでない人に比べて脳血管性認知症が2.4〜10.1倍も高いというデータも報告されています。

危険因子のいずれも、中年期の生活習慣が大きく影響するので、バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠をとって、飲酒や喫煙習慣のある人は少しずつ減らしていくことが大事になります。

アメリカシカゴのラッシュ大学医療センターの研究チームによると、「マインド食」という食事法に、アルツハイマー型認知症の発症リスクを下げる効果があるという発表が2015年にありました。男女1000人を対象にした5年間の追跡調査では、マインド食を実践した人のアルツハイマー型認知症の発症リスクがそうでない人と比べて53%も減少したという研究報告もあるようです。

マインド食とは、心疾患の予防に役立つ「地中海式食事法」とコレステロールを控え高血圧などを予防するとされる「ダッシュ食」を組み合わせたものです。
これはアメリカのデータですが、働き盛りの世代は、外食や偏った食生活をしていることも多く飲酒や喫煙習慣のあるという人もいるので、まず、毎日の食生活にマインド食を取り入れるなど、見直してみてはいかがでしょう。

「マインド食」

積極的に取り入れたい食材 緑黄色野菜、根菜類、豆類、ナッツ類、全粒穀物(小麦の全粒粉や玄米など)、オリーブオイル、DHA やEPAの多い魚、鶏肉、ベリー類、ワイン
控えた方がいい食材 赤身の肉、バター・マーガリン、チーズ、お菓子、ファストフード

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  • 脳活動と日常生活の関係性
  • 現在脳科学でわかっている事実
  • 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから

積極的に取り入れたい食材画像