脳のはなし

“脳の第2のピーク”を高める方法

記憶力や処理速度などの脳の機能は、20代にピークを迎え、その後は低下する……。このことは、多くの方がご存じでしょう。しかし、実は脳にはその後に“第2のピーク”があることはあまり知られていないようです。

人間の知能は、新しいことを学習したり記憶するための「流動性知能」と、知識や経験を蓄積することで高次な判断や能力を発揮する「結晶性知能」の2つに分類されます。

30代で最初にピークを迎える知能は、流動性知能で、20代以降は加齢に伴って徐々に低下する特徴があります。

一方、知識や経験の蓄積で高まる結晶性知能は、加齢に伴って能力が徐々に高まり、そのピークは何と60代。その後はゆるやかに低下しますが、80代でも20代のレベルを維持することが分かっています。

どんなに頭の回転が良くても、入社したばかりの新人よりも、実際の社会経験を積んだ30代、40代のスタッフのほうがマネジメントに適しているのは、この結晶性知能によるものです。「あのときに得た情報を、この課題に当てはめればうまくいくだろう」「あの人が言っていたことが、このトラブル解決に役立つな」など、さまざまな情報や知識や経験を結び付けながら高次の判断ができるのが結晶性知能の高い人、というわけです。

加齢とともに記憶力や頭の回転速度は低下しますが、こうした脳内のネットワークは、加齢するにしたがって増殖し、連動して効率よく働くようになります。もっといえば、読み書き計算などの脳トレで記憶力や頭の回転速度といった結晶性知能のピークを維持しながら、経験を積みあげることで、結晶性知能という脳の第二のピークをより高度にして迎えることも可能なのです。

人生100年時代の生涯現役、生涯学習を実現するためにも、ぜひ、脳トレと合わせて、さまざまな経験と知識を蓄える機会をどんどん増やすことを実践してください。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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