脳のはなし

認知症の兆候が血液中に現れることが判明

沖縄科学技術大学大学院と、国立病院機構琉球病院、京都大学らの研究チームが、認知症に関係する血液中の33種類の代謝物を特定したことを2021年に機関紙『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』で発表しました。

代謝物とは、生体内で起こる重要な化学反応によって生成される化学物質で、代謝によって生じる物質のことです。人間の体は代謝物の濃度を適切なバランスで保っていますが、認知症などの病気を発症すると、代謝物の濃度は増減すると考えられています。

この研究は、認知症患者と健康な高齢者それぞれ8名ずつと、研究の参照として健康な若者からの血液を採取し、解析を行ったものです。血液中に含まれる124の代謝物の濃度を測定した結果、33種類の代謝物の濃度が認知症に関連していることを発見。さらに、このうち7種類は認知症患者で高い数値を示し、26種類では低い数値を示すことがわかりました。

認知症患者が高い数値を示した7種類の代謝物の中には、中枢神経に対する毒性を持つものが含まれていたことから、これらが認知症を引き起している可能性があるのではないかと指摘しています。

研究チームは、今後も代謝物が増加することで認知症が誘発されるかどうかをマウスなどの動物モデルで検証を今後も続けていくと報告しています。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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