2022.02.04
歯を失うと認知症になるメカニズムが明らかに
これまで口腔の健康状態が悪化すると、認知症発症のリスクが高まる可能性があることは報告されていましたが、そのメカニズムに関する人を対象とした研究はほとんどありませんでした。
2021年に口腔状態と認知症発症のメカニズムについて、東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科の相田潤教授と東北大学大学院歯学研究科の小坂健教授、木内桜大学院生らの研究グループが医学誌『Journal of Dental Research』に発表しました。
この研究は、2010年の日本老年学的評価研究機構のデータをもとに、要介護者や認知症、認知機能低下傾向などにある人を除く35,744名(平均年齢は男性73.1歳、女性73.2歳)を対象に、歯の本数と6年後の認知症発症にどういった要因が関連しているか調べたものです。
2010年の時点で13,850人が歯を20本以上有していて、2013年〜2016年までの間に1,776人が認知症を発症しました。
その結果、歯の喪失と認知症発症との間には明らかな関連が見られることがわかりました。その関連とは「体重減少」「野菜や果物の摂取(1日1回以上)」などの栄養に関する要因と、「友人・知人との交流人数」「閉じこもり」といった社会的要因です。
中でも、男性は友人・知人との「交流人数」、女性は「野菜や果物の摂取」が、歯の本数と認知症発症の因果関係を中立ちしていることが明らかになりました。
研究グループはこの結果から、歯をできるだけ残すことは、家族や友人との社会関係を維持することにつながり、また良好な栄養状態は、認知症発症を予防する可能性があるのではないかと説明しています。
50代になると歯周病などが原因で歯を喪失する人が増えますから、体だけでなく歯のメンテナンスも重要です。
川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者
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