脳のはなし

脳の萎縮にストップをかける「魔法のゲーム」とは?

新聞や雑誌をめくっていると、時々目に入る「クロスワードパズル」。ちょっと時間があれば、頭の中の語彙の引き出しを次々と空けて、言葉を探し始めますね。最後まできれいにことがば埋まると、達成感とともに、スッキリと心がハレバレするものです。

実は、このクロスワードパズルが、認知能力を向上させ、記憶障害を持つ人の脳の萎縮を軽減させる効果があることが、分かってきました。

アメリカ・デューク大学の研究では、62歳から80歳のMCI(軽度認知障害)がある参加者に12週間、クロスワードパズルに取り組んでもらったところ、認知機能が優位に向上することが判明。しかもその効果は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が承認する記憶力増強剤と同等であることも分かりました。

さらに、18カ月後のMRI検査で脳画像を確認したところ、海馬の萎縮傾向が減少していることも確認されたのです。

実験では、参加者は週に4回、30分間ずつクロスワードパズルに取り組みました。つまり、健常者も、日常生活のなかで同様に取り組むことで、思考力や記憶力によい影響がもたらされることは、十分に期待してよいでしょう。

言葉のゲームを楽しみながら、脳の健康を保つ、実に有益な方法です。手軽に自宅で楽しめる脳トレを、今日からはじめてみてください。

参考:https://evidence.nejm.org/doi/10.1056/EVIDoa2200121

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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