脳のはなし

歩く速さ=認知機能!? 脳と歩行の意外な関係

自分の脳はどれぐらい健全なのか? だれもが気になるそんな疑問を、自分で簡単にチェックする方法が、歩行です。

私たちが日々、何気なく行っている歩行には、脳の様々なネットワークが駆使されており、自分の状態や周囲の状況を瞬間的に判断しながら行われています。そのため、脳のネットワークのつながりがスムーズに行われなくなると、歩くスピードが遅くなったり、ふらふらしたりといったことが起こりやすくなるのです。

実際に、MCI(軽度認知障害)の判断基準のひとつとして歩行速度が採用されています。足腰の筋肉の低下がない場合、秒速80㎝以下で「MCIの可能性があり」と判断されています。わかりやすい目安としては、横断歩道を青信号のうちに渡り切れない場合には、要注意となります。

また、アメリカ・テキサス大学の研究によると、370人の歩行速度と認知機能健康状態を調べたところ、歩行速度の低下は認知機能の低下と直接的な関係があることも分かりました。

逆に、良く歩くことは脳のネットワークを活性化させることにつながります。脳の神経細胞の活動を支える代表的な栄養分「BDNF(脳由来神経栄養因子)」を増やし、神経細胞間で情報を送り合う神経線維を長くしたり、枝分かれを促進して、より働きやすい脳に変化させることが知られています。

1日30分~1時間、できるかぎりテンポよく歩いて、脳の働きもスピードアップさせることを目指しましょう。

参考:https://doi.org/10.1002/gps.5310

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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