脳のはなし

立ったままの時間を増やすことが大事

リモートワークで座ったままの時間が長く、運動不足になったという人も多いのではないでしょうか。

これまで運動不足の人がウォーキングなどの運動をすることでインスリンの感受性※が改善し、血糖値が下がることは報告されてきました。けれど座っている時間が長い人が、立ったままの時間を増やすと、どのように影響するかは分かっていませんでした。

2021年にフィンランドのトゥルク大学の研究グループが、立ったまま過ごす時間を増やすことで、2型糖尿病や肥満など慢性疾患のリスクを軽減させることを学術誌『Journal of Science and Medicine in Sport』で明らかにしました。

この研究は、メタボリックシンドロームがあり、2型糖尿病と心血管疾患の発症リスクが高いと診断された40〜65歳の男女を対象に4週間活動量計をつけて計測し、さらにインスリンの抵抗性(インスリンの効きにくくなっている状態)などを調べる検査を行ったものです。

研究の結果、立ったままで過ごす時間が長い人は、毎日の運動量や座っている時間、肥満、身体的活動レベル、心肺機能などに関係なく、インスリンの感受性が良好であることがわかりました。

このことから、普段、運動ができていないという人でも、座ったままの時間を立ったままの時間に置き換えることで、インスリンの感受性を良好にして健康を改善する可能性があるということです。

研究グループは今後、1時間立ったままの時間を増やすとインスリンの感受性や血糖コントロールなどが、どのように影響するかの研究をさらに進めていくそうです。

糖尿病や肥満などの慢性疾患は、認知症発症リスクを高める要因の1つです。運動不足の人は、まず立ったままの時間を増やすことから始めましょう。

※インスリンの感受性…インスリンの分泌などが正常に働いているにも関わらず、インスリンが十分な効果を発揮できていない状態のこと。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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