脳のはなし

新型コロナウイルスが脳に与える影響とは

新型コロナウイルスに感染した患者の症状として「記憶を喪失する」「あたまがぼんやりとする」といった、脳への影響が一部、報告されていました。

そして、2022年3月に科学雑誌『Nature』でオックスフォード大学が発表した論文によると、実際に新型コロナウイルスに感染した患者の脳の大きさが、平均で0.2~2%縮小していることが分かりました。

同論文によると、51~81歳の男女785人の脳画像を調査したところ、感染なしの場合と完成した場合の2回撮影し、比較したところ、重軽症の違いに関わらず、感染後は前頭皮質と海馬における灰白質の暑さと組織が大幅に減少していることが確認されました。減少した領域は、感情や記憶を司ることが分かっています。

結果、患者は認知機能の低下のほか、嗅覚の喪失が見られたと報告されています。

新型コロナウイルスは、健康への悪影響だけではなく、脳を損傷することで記憶力や集中力、思考力を大幅に損なうことが明らかになったということです。

この研究は、英国でアルファ型のウイルスが主に流行した時期にあたるため、現在、猛威を振るっているデルタ型が同じ結果をもたらすかどうかは不明です。とはいえ、まったく影響がないとは考えにくいでしょう。

引き続き、手洗い、うがい、マスクの装着、密を避けるといった感染対策は十分に行っていくことが、脳を守ることにもつながるといえます。

参考:https://rdcu.be/cIDIY

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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