2022.04.05
若い頃から健康な血圧値を保つことが認知機能の低下の予防に
認知症の発症リスクを高める危険因子のひとつに高血圧があります。ブラジルのミナスジェライス連邦大学医学部のサンジーバレト教授らの研究グループは、高血圧が記憶力や言語の流暢さ、注意力、集中力などの認知機能の低下の危険性を高める要因であることを2020年にアメリカの心臓協会の学会誌『Hypertension』で発表しました。
この研究は、研究開始時、平均年齢が約59歳だったブラジルの約7,000人の成人を対象に、血圧と認知機能を調べるテストの成績の関連について4年間追跡調査し、分析したもの。テストは、記憶力や言語の流暢さなどについて調べました。
その結果、血圧降下薬を使用せずに、最大血圧(収縮期血圧)が121~139mmHg、または最低血圧(拡張期血圧)が81~89mmHgと血圧が高めの人は、認知能力の低下を加速させることがわかりました。さらに、高血圧にも関わらず血圧コントロールをしていない人は、血圧降下薬などで血圧コントロールできている人と比べると、記憶力など認知能力が大きく低下していました。
また、認知機能の低下は期間に関わらず現れ、血圧が高い状態が短時間にとどまる場合でも、認知機能の低下に影響する可能性があるとも報告されています。
これらの結果から、研究チームは、認知機能の低下や認知症を予防するために、早期に高血圧の対策をすることが重要だと述べています。
生涯にわたって健康な血圧値を維持することは、認知能力の低下と、将来の認知症リスクを予防することにつながるということです。
川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者
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