脳のはなし

歯の衰えは脳の衰え!?

人生100年時代といわれて久しい昨今では、「いかに脳の老化を防ぐか?」は誰にとっても重要なテーマといえるでしょう。そのために、食事や運動に気を付けたり、あるいは様々な脳トレに励む方も多くなってきました。

そしてまた新たに、脳の健康寿命に大きな影響を与える要因が、最近の研究で明らかになりました。それは、「歯」です。

国立長寿医療センターがイギリスの学術誌「Scientific Reports」で発表した論文によると、臼歯(奥歯)を抜歯した老齢マウスは、3カ月後、顕著に行動量や作業記憶、運動協調性が低下することが判明しました。さらに、脳老化の特徴の1つといわれる細胞「アストログリオーシス」の増加も発見されました。

つまり、歯の喪失が脳の認知機能低下に大きく影響したということです。

研究チームは「口腔ケアによって歯の健康を保つことが、脳の健康維持にとっても重要であることが示されている」と語っています。

「80歳で自前の歯を20本残そう」という意味の「8020運動」は、健康長寿のスローガンとして有名ですが、今後は「8020で脳も元気運動」と覚えておきましょう。何も問題なくても、歯の定期検診を受け続けることが、脳の若々しさを保つことにつながります。

参考:https://www.nature.com/articles/s41598-022-10321-w

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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