脳のはなし

心臓の健康を保つことが認知症の予防に

心臓を健康に良好に保つことは脳の健康にとっても重要で、脳卒中などの脳血管疾患や認知症リスクの抑制につながることが、これまでの研究で明らかになっています。

また肥満や過体重、運動不足、高血圧などの心血管疾患のリスク因子が、脳血管疾患や認知症のリスク因子でもあることも、多くの研究で報告されてきました。

けれども、中年期以降にそれらのリスク因子の改善や悪化が見られた場合に、その後の加齢にともなう脳血管疾患や認知症リスクがどのように影響するのかというデータは、明らかになっていませんでした。

2023年にアメリカ脳卒中協会は、中年以降の心臓の健康の良好さが、約20年後の脳卒中や、認知症の危険因子の発症率の低下と関連していることを明らかにしました。

この研究は、参加者1,638人の中年期のデータと、高齢期のデータを用いて解析。さらに心臓と脳の健康を守るための7種類の行動「Life's Simple7」である、食事、身体活動、体重、喫煙、コレステロール、血圧、血糖の状況を、「悪い」「中程度」「理想的」という健康スコアを評価しました。

その結果、中年期と高齢期に健康スコアがともに高かった人や、中年期以降に健康スコアが上昇した人は、脳血管疾患や認知症のリスクが低いことが分かりました。また、健康スコアが1点上昇するごとに、リスクは約7%低下するといということも明らかになったのです。

ただ、この研究では、「Life's Simple7」のそれぞれのスコアの変化が、脳の健康にどのような影響を与えるかという視点での解析はされていないため、今後も、これら7つのうち、どれが最も関係を持っているかを調べていく必要があるということです。

出典):アメリカ脳卒中協会

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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