脳のはなし

歯のケアを怠ると認知症発症リスクがUP

糖尿病や歯の喪失は、認知機能低下、認知症の危険因子としてこれまでの国内外の研究で広く知られています。歯茎の痛みや欠損などで食物を良く噛めなくなり食べられなくなると、栄養不足につながり、栄養状態は、糖尿病でのインスリン感受性の低下などにも影響するため、認知機能の低下や認知症の危険因子となる可能性が高いからです。

そんな中、2023年に『Journal of Dental Research』で掲載された研究によると、糖尿病と歯の喪失の両方があると、認知機能が低下し、認知症発症リスクが加速することが発表されました。

この研究は、ニューヨーク大学看護学部の研究チームが、65~85歳以上の高齢者9,948人を対象に、2年ごとに記憶や認知機能の検査を行い、合わせて歯がどれくらい残っているかも12年間にわたり調べたもの。年代別に歳糖尿病のみ、歯の喪失のみ、その両方を持つグループに分けて分析しました。

その結果、糖尿病で歯を多く失っている高齢者は、それらがない高齢者に比べ、認知機能が有意に低下していることがわかりました。さらに時間の経過とともに、糖尿病のみ、歯の喪失のみのグループも認知機能は低下するものの、糖尿病と歯の喪失の両方を持つ65〜74歳の高齢者グループの認知機能の低下速度が最も速いことが明らかになりました。

研究チームは、糖尿病で口腔の健康状態が悪い人は、糖尿病の治療をきちんと続け、血糖値を良好に管理するだけでなく、歯科も定期的に受診することが大切だと述べています。

出典):ニューヨーク大学看護学部

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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