脳のはなし

アルツハイマー病発症リスクが腸内細菌で分かる!?

アルツハイマー型認知症は、65歳以上に最も多い認知症として知られています。脳の神経細胞が徐々に減り、脳が小さく萎縮していく進行性の病気で、もの忘れをはじめとする様々な症状が現れるようになります。

「なりたくない病気ナンバーワン」のアルツハイマー型認知症をいかに早く発見するか。そのための明るい希望となる研究がこのほど、発表されました。それは、「初期のアルツハイマー型認知症患者は、腸内細菌が大きく異なる」というものです。

ワシントン大学の研究チームは、脳の変化が始まってから症状が明らかになる前の初期段階では、健康な人と比べたとき、同じような食事をしていても腸内細菌の組成が著しく異なることを発見しました。その腸内細菌の違いは、アルツハイマー型認知症の症状が現れる前に脳内に蓄積するタンパク質「アミロイドベータ」と「タウ」のレベルと相関してくることも確認されました。

研究者は「腸が脳に影響するのか、脳が腸に影響しているのかはまだ不明なので今後の課題。しかし、症状が現れる前の早い段階で診断できれば、認知症発症リスクが高い個人を特定し、認知機能の低下を防ぐ予防的な治療が行える可能性が開かれる」と語っています。

アルツハイマー型認知症は進行が比較的緩やかであることから、薬やリハビリで進行を遅らせることで、自立した生活ができるといわれています。そのため、早期発見が非常に重要であることから、腸内細菌で発症前にリスクが分かれば、進行防止に大いに役立つことでしょう。
近い将来、60歳以上の健康診断で腸内細菌を調べることがマストなるかもしれません。

参考):https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.abo2984

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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