脳のはなし

深い睡眠が減少すると認知症リスクが27%UP

睡眠不足が、脳に悪影響を及ぼすことはこれまでの研究で明らかになっていましたが、新たに、2023年にオーストラリアのモナシュ大学の研究グループが、睡眠の改善が認知症を予防できる可能性について、『JAMA Neurology』誌で発表しました。

この研究は、60歳以上の346人の参加者を対象に夜間睡眠ポリグラフを使って、1995年~1998年と2001年~2003年の2回にわたり、調べたもの。さらに参加者を17年間追跡し、認知症の発症との関連を調査しました。

その結果、深い睡眠である余波睡眠が毎年減少している高齢者ほど、認知症リスクが高まることがわかりました。さらに深い睡眠が年間にわずか1%減少するだけで、認知症リスクは27%上昇することも明らかになったのです。

ノンレム睡眠は睡眠の深さによって4段階に別れ、深い睡眠は余波睡眠と呼ばれています。これまでの研究から余波睡眠は脳の老化予防のサポートしており、アルツハイマー型認知症の原因となるタンパク質や、老廃物の除去を促進することに役立っていると考えられていました。

これらの調査結果から、研究グループは、深い睡眠である徐波睡眠を失うことが認知症の危険因子になる可能性を明らかした一方で、睡眠を改善することによって認知症の予防につながる可能性があるのではないかと報告しています。

出典) オーストラリア モナシュ大学

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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