脳のはなし

スマホだけじゃない!? 「インターネット脳」という恐怖

スマホが脳に悪影響を与えると注意喚起する書籍『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン:著、新潮社:発行)が大きな話題になっています。

私たち東北大学加齢医学研究所の研究チームも2018年に「子どものスマホ使用時間が長くなればなるほど学力が下がる」と発表しました。『スマホが学力を破壊する』(川島隆太:著、集英社新書:発行)にもまとめています。特に、メッセンジャーアプリを使用していると学習したことが頭から消え去る、という恐ろしい事実がわかっています。これが、子どもだけに限られた影響だとは考えにくいでしょう。大人も十分に注意する必要があります。

また、脳に悪影響を与える端末自体も「スマホに限らない」ということが言えます。パソコンでもタブレットでも同じです。過度なインターネットの使用自体が、脳の構造や発達に少なくない影響を与えることが分かっているからです。

我々の研究チームは2018年の研究で「インターネットの使用頻度が高いほど、直接的、または間接的に、言語知能を低下させる」ことも明らかにしました。さらに、言語処理や注意機能、感情に関与する脳の「灰白質」を減少させる可能性さえあることが分かりました。

とはいえ、現代社会の中でこうした多機能端末の利用をゼロにすることは難しいでしょう。無制限に、無計画に使用することが問題ですから、それをある程度制限するアプリや機能が今は多数あるため、それらを利用しながら脳に悪影響のない使用法にスイッチすることが重要です。

脳の構造をつくりかえてしまうほどの力がインターネットにはあることを、ぜひ、忘れないでお付き合いしてください。

参考:「Impact of frequency of internet use on development of brain structures and verbal intelligence: Longitudinal analyses」Hum Brain Mapp.2018 Nov;39(11):4471-4479. 28.

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