脳のはなし

ビフィズス菌が軽度認知障害(MCI)の認知機能改善に効果的

脳と腸は、常に情報を交換し合い、互いに影響を及ぼす関係です。この関係を「脳腸相関」といいますが、近年、「脳腸相関」に腸内細菌が関与していることが明らかになり、様々な研究が行われるようになっています。

その1つに森永乳業が独自保有するビフィズス菌「Bifidobacterium breve MCC1274(別名:A1)」(以下MCC1274)の研究があります。森永乳業は、ビフィズス菌MCC1274を摂取すると認知機能が改善することを2020年に科学雑誌『Journal of Alzheimer’s Disease』で発表しています。

この研究は、軽度認知障害(MCI)の疑いのある50歳以上80歳未満の男女80名を対象に行われました。

対象者は16週間にわたり、ビフィズス菌MCC1274を100億個含んだカプセルを1日2個摂取したグループ(MCC1274摂取群)と、ビフィズス菌を含まない無味無臭のカプセルを摂取したグループ(プラセボ摂取群)に分けられ、摂取前後で認知機能テストを行いました。

図1.RBANSスコアの実測値(P値:ANCOVAによる群間検定)

その結果、MCC1274摂取群は、プラセボ摂取群と比較して、総合的な認知機能を表す評価点合計が著しく改善することがわかりました。また、さらに詳細な評価項目を見てみると、即時記憶、視空間・構成、遅延記憶などの点数が顕著に向上していることが明らかになりました。

軽度認知障害(MCI)は、早期発見し適切な対策を行うことで、改善する可能性があります。今後、研究が進みビフィズス菌「MCC1274」の作用がさらに解明されることで、認知症の発症リスク低減にも役立つことが期待されています。

図2.RBANSスコアの摂取前後の変動値

出典)森永乳業株式会社

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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