脳のはなし

フラボノイドを多く含む果物などを食べると、認知機能の低下を抑制

野菜不足が健康に悪影響を及ぼすことは知られている一方、見落とされがちなのが果物の摂取不足です。WHOの指標で健康を保つためには、1日200gの果物を摂ることが目標になっていますが、野菜に比べ意識して摂取している人は少ないのではないでしょうか。

果物には、ビタミンAやビタミンC、カリウムなどのミネラルのほか、フラボノイドが多く含まれていて、動脈硬化を予防すると言われています。

中でもフラボノイドで、動脈硬化だけでなく認知機能の低下リスクを抑制する可能性があることが、アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究チームによって2021年に医学誌『Neurology』で明らかにされました。

これまで認知機能の低下は、抗酸化物質の不足が関係していると考えられてきました。フラボノイドには強力な抗酸化作用の働きがあります。

フラボノイドは、アントシアニンやフラボンなど非常に多くの種類があるポリフェノールの一種。果物では、リンゴ、バナナ、洋ナシ、オレンジ、ブルーベリーなどに豊富に含まれています。

発表された研究は、フラボノイド摂取と認知機能の低下との関連について20年間に渡り調べたもの。女性4万9493人と男性2万7842人を対象に、フラボノイドの摂取量などのデータをもとに、対象者を5つの群に分けて調査しました。フラボノイドの摂取量が最も多い群では、1日当たり平均600mg、最も少ない群では1日当たり平均150mgでした。

その結果、フラボノイドの総摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、認知機能の低下リスクが20%低いことが明らかになりました。さらにフラボノイドの中でも、認知機能に対する効果が高かったのはフラボンで、フラボンの摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、認知機能の低下リスクが38%も低くなっていました。

こうした結果から、フラボノイドを豊富に含む果物などの食品を摂取することが、認知機能の低下を抑える可能性は高いと述べられています。

フラボノイドは100g当たり、リンゴには約113mg、ブルーベリーには約180mg含まれています。食後のデザートにリンゴ、イチゴ、ブリーベリーなど果物を摂るように心がけましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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