脳のはなし

「気持ちを推し量るのが苦手」を克服!?“顔認知脳”

新型コロナ禍でのマスク着用が常態化したことで、相手の表情の読み取りが非常に難しくなったことは、健全な社会を営む上でも、子どもたちの認知・情動発達の上でも大きな問題になるかもしれません。

さらに悪気はないのに、いつのまにか相手を不機嫌にさせてしまったり、迷惑に思われてしまったり。人の気持ちを読むのが苦手なことから、人間関係を難しく感じている人は少なくありません。

そんな悩みを持つ人に一度試してもらいたいのは、気持ちを知りたい相手の顔をよく観察すること。人間やチンパンジーは、最初に出会った対象の顔を見て個体を識別します。社会性のある脊椎動物には共通する特徴で、魚類の一部にさえ、この「顔認識」の行動は見られるといいます。初対面後も頻繁に相手の顔を観察することで、相手の状況や精神状態などの情報をできる限り収集しようとしています。

特に、人間や他の哺乳類の一部には、顔認識に特化した「顔神経」と呼ばれる神経回路を持っており、相手の顔から素早く情報をキャッチすることができる機能を持っています。特に、相手の眼をよく観察することが分かっており、「目は口程に物を言う」ということわざがあるのも納得です。

「他人の気持ちが分からない」という人は、人間に搭載されているはずの顔認識のための神経回路をうまく使えていないのかもしれません。一度、相手の顔に集中し、じっくりと観察しながら(失礼に当たらない程度に…)、気持ちを推し量ってみてください。今までキャッチできなかった情報に気が付いて、相手の気持ちも徐々に見えてくることでしょう。

参考)https://www.nature.com/articles/s41598-019-44715-0#:~:text=In%20these%20species%2C%20the%20face,face%20or%20face%2Dviewing%20patterns.

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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