脳のはなし

昼寝で記憶力が向上する

昼食後から午後にかけて15~30分程度の仮眠をとることで、午後の仕事効率がグンと高まる。そんなことを耳にしたことがあるでしょうか。ビジネスパーソンの間では、仕事の生産性を高める期待を持って、午後の仮眠を「パワーナップ」と呼ばれているようです。

実はこれは科学的にも明らかになっている事実です。それを示す研究を次に、紹介しましょう。アメリカのマサチューセッツ工科大学が行った、就学前の子ども18人を対象とした実験です。

子どもたちには典型的な出来事を記録した絵本を読んでもらい、2時間昼寝をした後、読んだ物語の場面を描いたカードを正しい順番で配置するよう求めました。1週間後、同じ手順で絵本を読んでもらい、今度は覚醒したまま2時間、静かな活動をした後でカードを並べてもらいました。

結果、昼寝をしたときのほうが、カードを並べる正答率が高くなることが確認されたのです。さらに、この昼寝による記憶力強化の効果は、24時間持続することも分かりました。
一方、覚醒したままのときは、記憶力のパフォーマンスが最大12%低下することも確認されました。

この研究対象は就学前の子どもですが、これが大人には起こらないというのは、考えにくいでしょう。実際に、15~30分程度の昼寝をした後の頭のスッキリ感を体験したことがある人は多いのではないでしょうか。当然、眠気が消失したあとのほうが、記憶力は高まると考えたほうが自然です。

「どうも睡眠不足だな」と感じた時には、昼食を早めに切り上げて15分仮眠する。そんな行動が、午後の生産性を高めてくれることでしょう。

参考:https://academic.oup.com/sleep/article/42/Supplement_1/A97/5451214?searchresult=1

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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