脳のはなし

レモンやサンダルウッドの香りが記憶力を高める!

株式会社日本香堂と東京大学大学院工学系研究科の研究グループが、精油の香りが記憶機能(ワーキングメモリー)に及ぼす効果や、その脳内メカニズムの解明について、2023年にアメリカの学術論文サイト「Brain and Behavior」で発表しました。

この研究は、レモン、サンダルウッド(白檀)、楠、香りなしの精油を吸引した参加者に2バック課題※1に取り組んでもらい、吸引時の30秒ごとの脳活動の変化を調べたもの。

その結果、レモンの香り吸引後に記憶課題の成績が有意に向上することや、サンダルウッド(白檀)の香りは吸引時に記憶保持に関連する脳処理が活性化する可能性があることがわかりました。

精油の香り吸引前後に行った2バック課題テストの成績を比較すると、レモンの精油を吸引後に課題の成績が統計的に有意に向上。またサンダルウッド精油の吸入直後は、帯状回(たいじょうかい)※2を含む前頭前部領域の活性化が、それぞれ120秒後、90秒後まで持続することが明らかになったのです。

これらの結果から、レモンやサンダルウッドの香りをうまく活用することで、勉強はもちろん、ビジネス、スポーツ競技など幅広い場面でのパフォーマンス向上が期待できると、研究グループは報告しています。

集中力を高めたい時は、レモンやサンダルウッドの香りの力を借りるのもいいのかもしれません。

※1 脳科学研究でよく用いられるワーキングメモリーを必要とする実験課題。2バック課題は、実験参加者の前に設置された液晶モニタに、1秒毎に1文字ずつ文字が表示されます。表示された文字が2回前に表示された文字と同じ場合は、マウスの左ボタンをクリックします。

※2 大脳の内側面において、脳梁の辺縁を前後方向に走る脳回。感情の形成と処理、学習と記憶に関わりを持つ脳の部位。

参考)
https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/research/

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  1. 脳活動と日常生活の関係性
  2. 現在脳科学でわかっている事実
  3. 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから