脳のはなし

中年期の健康な生活スタイルが認知症を予防

アメリカでは、65歳以上の650万人がアルツハイマー型認知症と診断され、その数は2060年には2倍になると予測されています。

そんな中、中年期にバランスのいい健康的な食事スタイルを保っている人は、年齢を重ねても認知機能の低下が少ないことを、アメリカのニューヨーク大学とグロスマン医科大学の研究グループが、2023年に『Alzheimer’s & Dementia』誌で発表しました。

この研究は、調査当時、平均年齢49歳の女性5,116人を対象に、食事(DASH食※)や運動などの生活スタイルが、認知機能低下に影響するかについて30年以上に渡り調査し、30年後のアンケート調査でSCC(主観的認知的訴え)についても合わせて評価したものです。

その結果、30年後、平均年齢が約79歳になった時のSCC のアンケートの結果では、「最近の出来事や買い物リストを思い出すこと」「口頭での指示やグループの会話を理解すること、または馴染みのある通りを移動すること」の難しさを全体の33%の女性が感じていることがわかりました。

その一方で、高血圧の予防や改善効果のあるDASH食を実践していた人は、食生活を改善しなかった女性と比べて、記憶力などの認知機能低下の兆候が約17%低いことがわかりました。

これらの結果から、DASH食を実践すると高血圧だけでなく、認知機能低下も予防できる可能性があることが明らかになりました。高齢期の認知障害を防ぐために中高年期から健康的な食事やライフスタイルを心がけることが大切だということです。

※DASH食(DASHダイエット)とは高血圧を予防・改善するために考案された食事法。脂肪の多い肉類や砂糖を含む甘いものを減らし、野菜や海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物を十分にとるものです。

参考)
https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.13468

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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